- 2006年2月13日 22:34
- BOOKS
大阪の獣医さんが書かれた本「動物力―犬のフリ見て我がフリ治せ!」を読みました。
けがや病気は治療しすぎない方が早く、きれいに治る
心のエネルギーは軽視できない
定期検診、早期発見、早期治療は無意味
こんな内容の本です。
一般的に常識と思われているような事柄でも、著者である獣医さんのこれまでの経験にもとづいて「違う」と感じていることについて、時には文献や統計を引用しながら冷静に反論されています。
どれも、今の私にとって耳に痛いことばかりでした。
確かに、医療行為というのは、始めてしまうと「もうこのくらいでいいです」となかなか言えない側面があります。「お薬は最低何日間続けて下さい」と指示されてしまい、もしその指示に従わずに期待する効果が出なかった時には、獣医さんから責められる以上に、おそらく飼い主は自分自身を責めてしまうでしょう。そして次の機会には言われたとおりにきっちりと飲ませようと決心するのです。
もし、命に関わるような緊急状態だったとしたら、それがどんなにリスクの高い処置であっても「けっこうです」と言い切ってしまうことはなかなかできないでしょう。
現在、3ヶ月おきに癌検診を受けていますが、私から見て「そろそろ間隔を広げてもいいかもしれない」と思っても、専門医から「それは飼い主さんの判断に任せます」と言われると、自分の判断に決して自信があるわけではないので、やはり無難に短い間隔で受けさせようと思ってしまうのです。
私自身もその流れには少し危ういものを感じてはいました。
この本に書かれていることの多くは、飼い主としても実感として感じていることが多いです。
手術創も、消毒しすぎず自然のままにしておく方がきれいに治ります。
最近はそうでもないのですが、以前はいただいたお薬を半分くらい飲ませたところで症状が治まることが多かったので、そこで自分の判断で服用中止してしまっていたこともよくありました。ルナっちは細菌感染によって外耳炎や皮膚炎に罹ることが多く、その場合はたいてい抗生物質を処方されるのですが、「抗生物質の余剰分は肝臓に溜まる」という話を聞いてからは飲ませすぎにとても神経質になっていたからです。
このブログでも時々お知らせをしていますが、緊急時にはペットにも輸血処置が必要になってきます。ここでお知らせをする子たちは、過度の貧血状態を解消しなければ大元の病気の治療にも取りかかれないような状態であることが多いと思います。
ただ、当たり前すぎるからあえて触れられていないのかな、とも思うのですが、輸血にだってリスクはあります。いいえ、どんな医療行為にもリスクはあると思います。
体に異物を入れるのですから。
リスクとメリットを天秤にかけて、メリットの方が大きいと判断されるからこそ、具体的な医療行為に踏み切れるのでしょうが、必ずしもメリットの方が明らかに大きいという場合ばかりではないと思います。本当にギリギリのところでせめぎあっていることがほとんどで、そういう時には本当にほんの少しのタイミングの違いや体調の差で結果が大きく変わってきてしまうのではないでしょうか。
以前、動物の高度医療というエントリでも、高度医療だけが最良の選択肢ではないと書きましたが、今でもその気持ちは変わっていません。
うちの場合は、ルナっちに体力があって、ストレスが少ないと判断できているから、なんとか継続しているに過ぎません。
かといって、今までやってきたことをすべてくつがえして、なにもしない状態にすることはとても勇気が要りますし、私の知識と経験だけで医療行為の取捨選択を行うことは困難です。
おそらくこれからも必要を感じたら受診し、処方された薬を飲ませ、がんの検診にも足繁く通うことになると思います。
ただ、違う視点から動物たちの医療を見てきた人の書いた文章を読んだ今は、もしルナっちにとって過大なストレスの原因になるのであれば、今行っている検査や治療は全てお休みしよう、という気持ちにスムースに移行できるような気がしています。
ルナっちが癌という完治の難しい病気に罹ってから、CTスキャンによる検査や抗がん剤による予防措置などの高度医療行為を積極的に行ってきました。
反面、広範囲にわたる手術や、一定期間の入院などがルナっちにとって多大なストレスになっているだろうことも漠然と感じてきました。
原因不明の神経症状や失明は、それらとまったく無関係ではないだろうな、とも思っています。
10歳を過ぎた今、私にできることはなにか?と考えれば、闇雲に彼女にストレスをかけ続けることではなく、私も彼女も穏やかにゆったりと過ごせるような環境を作り、来るべきその日に備えることなのかなぁ、と思ったりしています。
そんな今の私たちにとって、この本に書かれていることのいくつかは、今までやってきたことの反省と、これからの選択肢を広げるための指針になってくれました。
