- 2005年10月23日 22:21
- EYE
ルナっちは現時点では、典型的な症状を呈しているという根拠で、SARDSと診断されているようです。
80年代に発見された新しい症例で、まだ研究も進んでいないらしく、原因も治療法も確定されていません。
もしかしたら別の病気かもしれませんが、ミオクローヌスの時にも言われたように、精密検査を受けたとしてもはっきりわかるとは言い切れません。
とりあえず近日中にクッシングの検査は受けた方がいいかもしれないけど。
珍しい病気で資料がなかなか集まらないのですが、今の段階でわかっていることについてまとめてみました。
Sudden Acquired Retinal Degeneration Syndrome (SARDS)
発症は犬種にかかわらず見られ、年齢は7歳から14歳、性別では雌が多いです。
網膜上の視細胞は桿体、錐体どちらも破壊され、後に失明します。
この病気では、突然視力を失います。
もし飼い主が注意深く観察していたら、5~10日ほど前から視覚異常に気づく場合もあるかもしれませんが、わずか一晩で見えなくなることもあります。
(ルナっちはちょうど前段階でケージレストしていたため発見が遅れた可能性もありますが、腰痛の快復後も数日間は普通に暮らしていたことを考えると、おそらく突然失明に至ったのだと思われます)
視覚を失う前段階として食欲の増加や飲水量の増加も起こりえます。体重も増加します。
(ルナっちにはそれは起こりませんでした。現在も異常なほどの食欲、乾き、体重の増加は起きていません)
聴覚、臭覚の欠如が起こる場合もあります。
網膜の外観は正常です。
瞳孔は拡大し、光に対する反応はありません。あったとしても不活発で不完全でしょう。
目の前で手をちらつかせても反応はなく、床に落ちたものを追いかけることもしません。
血液検査や尿検査を行うと、クッシング症候群を示唆する結果が出ることがあります。
クッシング症候群を特定するための検査(低用量デキサメタゾン抑制試験、ACTH刺激試験)を受けさせるとそれが本当にクッシング症候群なのかどうかわかると思います。
クッシング症候群とは、副腎や脳下垂体に腫瘍があったり、長期にわたってステロイドを服用していると起こりがちな、ステロイドホルモン分泌障害です。
クッシング症候群を治療しても視力は回復しませんが、治療は行うべきです。
SARDSとクッシング症候群の関連はまだ解明されていません。
突然の視力の喪失にはさまざまに原因が考えられます。
視神経炎、腫瘍によって視神経が圧迫されている、脳腫瘍、炎症性のできもの、そしてSARDSです。
SARDSの最終診断は血液及び尿の完全検査、血圧測定、網膜電位測定(ERG)をもって行われます。
ERGによって網膜の機能が正常であると見なされた場合、SARDSとは診断されません。
さらに検査を行い、原因をつきとめる必要があります。
ERGが水平で血圧が正常な場合、SARDSと診断されるのが妥当です。
炎症性のものであれば抗炎症性の治療によって視力が回復するかもしれませんし、腫瘍であれば放射線治療が有効かもしれません。
精密検査を受け、SARDS「でない」ことを確定するのは重要なことです。
他の網膜疾患同様、SARDSには治療法がありません。
組織標本を検査したところ、網膜の視細胞層は破壊され、再生が不可能であると判明しました。
数年前、獣医眼科医がSARDS患者の飼い主に対してアンケート調査を行いましたが、病気の原因と考えられるような共通の環境要因は見つかりませんでした。
病理生態学的に見ると、神経細胞の突然死はアポトーシスと呼ばれる現象に関連があります。
体の中の全ての細胞は、細胞分裂を管理する遺伝子及び細胞死を管理する別の遺伝子を運びます。
これらの遺伝子の活動には化学物質が関連しています。
まだ知られていないなにか化学的なきっかけで、桿体及び錐体細胞のアポトーシスを引き起こすと見られています。
たとえば、アルツハイマーやパーキンソン病で起こる脳細胞の死滅と同様のメカニズムであり、緑内障で起こる網膜細胞の死滅にも似ています。
SARDSは苦痛を伴いません。
ペットは突然の失明に困惑しているだけです。
盲目のペットを快適に過ごさせるような工夫をするだけでいいのです。
今回参考にさせていただいたサイトはこちらです。
Zigler Veterinary Professional Corporation
また、こちらの本は洋書ですが、視力の衰えた犬との暮らしについて詳しく紹介されていてとても参考になりました。代表的な眼科疾患についても解説されていて、日本ではまだ症例の少ないSARDSに関しても詳しい情報が掲載されています。
この本では、クッシング症候群で起こるコルチゾル(ステロイドホルモン)の過分泌は強いストレスによるものであることも考えられる、と書かれていました。
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