- 2005年7月 6日 08:45
- HEALTHCARE
*このエントリは2005年1月に「アメリカの供血」というタイトルで書かれたものを改題し、
一部追記したものです*
アメリカ、マサチューセッツ州のローカル紙にペットの供血依頼の記事が掲載されていました。
あちらではどのような募集を行っているのか興味があって、わかる範囲で読んでみましたので
ご紹介しますね。
依頼したのはかなり大規模な動物病院のようですが、日常的に輸血が行われていて
供血に協力する飼い主に対する特典を設けています。もともと犬との生活様式から
まったく違う文化圏のお話なので単純に比較して「日本はダメねぇ」とは言いたくないのですが、
日常生活のさまざまな面が欧米化している中で、もう少しいいところは積極的に採り入れていけたら…
いいですよねぇ~(ためいき)
犬の供血にご協力をお願いします-2005年1月21日(金)2月26日土曜日午前10時から正午までの間に、ボストンのサウスハンチントン通りにあるエンジェルアニマルメディカルセンターに供血に来てくれる犬を募集しています。
提供された血液は、癌などの深刻な病気や交通事故などで重傷を負った犬に対する
大がかりな手術のために使われます。昨今の獣医学の進歩により、輸血は動物医療の中でもごく普通に行われるようになってきています。
この病院では毎年1,200件以上の輸血を行っています。
供血はペットたちにとって安全で簡単なものです。定期的に供血を行うことで無料で健康診断を受けられます。この他ワクチン接種、フィラリア予防、ドッグフード、記念のバンダナ、また、将来必要になった時に無料で輸血が受けられるなどの特典がついています。
供血犬はあらかじめ登録が必要です。年齢、体重、健康状態によって、必要な要件に合致するかどうか判断されます。
猫の供血も別日程で受けつけています。
2005/7/6追記
ボストンの病院における供血プログラムについて、エントリでご紹介していなかった部分を追記します。
最低適合体重 犬 50lbs(約22.6kg)、猫 9lbs(約4.5kg)
年齢条件 犬 1~9歳 猫 1~8歳
健康状態に顕著な問題がなく、ワクチン接種やフィラリア予防を行っていること、これまでに
輸血を受けた経験がなく、妊娠歴がないこと。
カナダの救急動物病院ではもう少し条件が厳しく、年齢は6歳くらいまでで犬の場合は避妊雌で
あること、また、生食を常食している場合は供血を行えません。
以前こちらのエントリにも書いたのですが、ルナっちも抗がん剤の副作用である骨髄抑制が起こり、
白血球数が激減してしまったことがありました。
今は抗がん剤の投与もなく、転移、再発の経過観察中ということで、特に差し迫って輸血の必要も
ないのですが、同じ境遇にある子たちの輸血の問題は常に他人事ではなく身近なものとして
感じてきました。また、調べれば調べるほどに、輸血が必要な事態は癌治療には限らずさまざまな
局面が考えられるため、癌の犬猫を飼っている人たちだけの問題としては捉えられないのではないかと
いう思いにも至りました。つまり、今のルナっちは緊急度の高い癌の治療は行っていないけれど
だからといって関係ないよ、と言ってしまうことはできないと思ったのです。
そのため、このサイトでも折に触れてご紹介し、皆さまにご協力をお願いしてきました。
でも、この年齢でこのサイズの、しかもこの既往歴のあるルナっちでは、いくら供血を呼びかけても
自らが進んで協力することはできません。
そのことはいつももどかしく、申し訳なく思ってきました。
おそらくそういうお気持ちをお持ちの方が他にもいらっしゃるのではないかと思います。
私も最近は、ただ供血のお願いを右から左に流すようなエントリは、書きにくいと感じるように
なってきてしまいました。
獣医療における供血システムはまだ確立していませんが、発展途上である現在挙げられる問題として、
・供血犬、猫をリストアップしておく責任者がいないため、毎回ネットなどで
呼びかける必要がある
保存血液、成分輸血などもまだ普及していない
・供血犬/猫の存在が流動的なため、供血してくれた個体の救済が保証されていない
・供血対象になる犬のサイズはさまざまなのに、供血に応じられる犬は大型犬に限られている
という点が挙げられるのではないかと思います。
住宅事情から考えても、供血に応じることのできるサイズの、若く健康な大型犬の頭数は
限られており、現在の呼びかけの方法が主にインターネットを用いていることからも、ネット環境に
ない飼い主さんに周知することは容易ではありません。
現時点では、日本の供血プログラムは限られた人/動物しか参加できない状況にあります。
でも助けを必要としている動物はその何倍の数もいるんですよね。
その、数字のハードルを、参加者にも、輸血を受ける側にも納得できる形で越えなければ
これ以上の発展は難しいんじゃないかと思うのです。
冒頭にも書きましたように、アメリカのやり方をそのままなぞることが日本の環境に適して
いるかどうかはわかりませんし、このようなご紹介をすることにもなんの意味もないかも
しれません。でも、輸血、供血という医療行為を送り手と受け手双方にメリットのあるものに
することができるなら、一つの方法として模索してみてもいいのではないかな、と思っています。
また、輸血という医療行為の必要性、有効性と、供血に対する理解を、もっと広くペットの飼い主たちに
訴える方法が一日も早く確立されることを願ってやみません。
かねてよりペットの輸血、供血に関して情報を発信されているペットポータルの2004年9月の
エントリで、同年同月に行われた第6回日本臨床獣医学フォーラム年次大会2004の中で発表された
苅谷動物病院(東京)による供血プログラムについて紹介されていましたので、こちらもご紹介方リンク及び
トラックバックをさせていただきます。
この病院で行われているプログラムは、アメリカの病院と同様、供血側の健康管理に
主眼を置いたものになっている点が高く評価されています。
また、供血プログラムについて深い関心を寄せられていたぷりんママさんのblogにもトラックバックを
させていただきました。