歯を大切に - L U N A

歯を大切に

ルナっちの奥歯は2本足りません。
左右の上顎第4前臼歯です。食べ物を噛み切るのに最も重要な役割を果たす歯です。
原因は、牛のひづめでした。

永久歯に生え替わった直後は、なにかと固い物を噛みたがります。
一般には骨やひづめを与えるといいと言われていますのでわたしも買い与えました。
ルナは喜んで毎日噛んでいました。
ある日、奥歯の一部が赤く変色していることに気づきました。
表面のエナメル質が剥がれて、中の歯髄が見えていたのです。
犬の歯の治療なんて考えたこともなかった当時、獣医さんにも診せましたが、「今後炎症を起こして腫れてきたりしたら考えましょう」とのお答えに特に疑問も持たずに放置していました。

それから数ヶ月後...ちょうど発情が始まった頃、ルナの顔がぷくっと腫れました。
皮膚に異常もなく、虫に刺された後もなく、口の中も見ましたが歯髄が見えている以外は正常です。しかも腫れていたのは歯というよりは目の下あたりでした。
「どうしたんだろうね」などと言っているうちに、発情の終わりと共に顔の腫れがひいていきました。
その更に半年後、次の発情の時にまた顔が腫れました。
今度は発情が終わっても腫れがひきません。
かかりつけの獣医では、レントゲンを撮られたり腫れている部分に注射針を刺されて中の組織を採取されたり、ルナはつらい検査に黙って耐えました。
でも、原因はわかりませんでした。

顔が腫れている他は健康体だったので、無頓着な飼い主はいつもどおりのほほんと暮らしていたのですが、その顔でごしまれいこ先生のしつけ教室に出席したら、先生はとてもびっくりされました。
「頭部に腫瘍のできてしまう子も増えているから、そんなにのんびりしてちゃだめよ。いい先生を紹介するから、診てもらっておいで」
そう勧められて、ご紹介いただいた獣医さんを訪れました。

その先生もやっぱり診ただけでは原因がわからなかったのですが、「どうもこの歯が気になる」と言われました。
その頃には、露出した歯髄が黒ずんできて、見るからによくない状態でした(ここで気づけよ飼い主、って感じ)
「ここまで悪くなっていたらどっちにしても抜かなきゃいけないし、抜いて顔の腫れがひいたら歯が原因だったということですっきりするから抜いてしまいませんか」と言われ、飼い主的にもその方がいいと判断したので日取りを決め、抜歯をしていただきました。

結果は、やはり露出した歯髄から雑菌が入り、中で炎症を起こして腫れていたようです。
初めての全身麻酔の手術で、飼い主はもう生きた心地がしませんでした。
そこへ追い打ちをかけるような先生の一言...
「反対側も剥がれてますね~」
そりゃあもうショックでした...。
毎日見てる飼い主でも気づかないくらいの軽症だったこともあり、反対側の歯はもう少し様子を見ることに決めました。
結局そちら側もその2年後に腫れてきてしまい、一度は削って充填してもらったのですが、やはり1年ほどしたら詰め物がとれてしまいました。
充填後は固いものを噛ませないように気をつけていたのですが、それほど固いものでなくてもやはり生来の歯で噛むようにはいかなかったようです。
今後ストレスなく噛み続けられるよう、結果的には抜歯することになりました。

いくら犬が物を噛むのが好きといっても、固すぎる物を噛ませると歯を傷める原因になります。
野生の肉食獣でも、獲物のひづめまで食べてしまうものはいません。
歯が欠けてしまうくらい固いものを噛む力よりも、しなやかな繊維を引きちぎる力の方が重要だと聞いたこともあります。
最近ではひづめは一切与えず、噛んでいるうちに柔らかくしなやかに変わってくるアキレス腱などを与えるようにしています。
(2004/04/29追記:アキレス腱でもまだ固いそうです。
最近はビルバック社から発売されている、酵素の入った牛皮製のガムを主に噛ませています。獣医さんで買えます。現在は品薄かも?)
骨もたまにあげるけど、ルナの口で噛み砕ける程度の小ささ、細さのものに限っています。
また、噛むおやつやおもちゃは与えっぱなしにせず、飼い主が噛む量や時間をコントロールすることにしています。
噛んでいる間も、万が一の事故のないようにすぐ近くで様子を見ています。

歯の治療といえども、犬にとっては全身麻酔の大がかりな処置になってしまいます。
飼い主として、犬に与える物の影響を考え、小さな異変も見逃さずに観察することが必要です。
どんなものであっても、犬に与えて放置してはいけません。
犬は人間のように、「このくらいでやめておこう」という判断はできません。
(人間でもできないことがありますよね)
第4前臼歯は、臼歯の中で最も大きな歯です。
いつまでも健康な歯でものが噛めて食べられるように、少しでも配慮してあげることが大切だと思います。

露髄した臼歯

削って充填する時、手術前の麻酔に立ち会わせていただきました。
その時の画像です。赤くなっているのが露出した歯髄です。

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